番茶も出花というけれど 四

兄さん達に呼び出されて…あんなのを
見せられるなんて思っても見なかった。
あんな…あんなのを「艶っぽい」って
言うんだろうか。
…ックショウ!如何しちまったんだよ、
おいらの身体。火照って、突っ張って、
眠れねぇよぉ。

月四朗の目の前には一組の夜具。そして、
其の夜具の上に居るのは、風三郎と伯斎。
「姐さん、これ…」
「まあ、言ってみればこれもあんたに
必要な学問だよ。いきなり手前でやれっ
たって無理な話だしね。今日は目でよく
見ておきな」
鶯はそう口上して2人に目で合図。
其れを機に、口吸いから始まった。
襦袢を纏っていた二人が口吸いをしながら
ゆっくりと肩から襦袢を滑り落とし
て行く。下帯はややしどけなく解け気味
になっており、膨らみ加減の前には薄らと
蜜が滲んでいる。
「風兄さんと先生は…」
「元々こう言う仲さ。嫌だったかえ?」
「判らねぇ。只…」
「只、何だえ?」
「変だよ…綺麗に見えちまって…」
言葉を交わしている間にも2人の戯れは
続く。伯斎の唇が風三郎の首筋から胸元、
臍へと動く。
「先生…もう少し強く…」
伯斎の頭を抱え込み、甘え声で強請る。
そして、器用にも足で伯斎を撫で擦り、
更に気を遣らせようとする。
だが其の目論見も敢無く崩れた。何と
なれば臍から下に下った伯斎の口が、
下帯ごと風三郎を呑み込んだから。
「…ッ…フウッ…」
恐らくは初めての其の刺激…月四朗に
見られているのも相まって、早々に
一度目の昇天と相成った。

下帯を解いてお互いのものを露にし、
風三郎を舌で清める。
「ほう、凄いじゃないか。月坊に見られて
逆上せたか?」
「そんな…事…」
「此処まで戻ってて言い訳はたたねぇぜ。
…最後まで良いのか?」
「遣っちまって下さい。ほら、じっと
見てる」
風三郎の囁きにふと見れば、眼を逸らさずに
其の行為を見ている月四朗がいた。
「俺も火が付いちまってるし…最後まで
消して下さいよ」
練木を湿して菊の座に塗り、解れた所で
突き入れる。後は只上り詰めて行くだけだ。
                    
月四朗は目を逸らす事が出来なかった。
頼りになる風兄。いつも一緒に居てくれた
風兄。
其の風兄を間近に見ながら、こんなに
遠く感じたことは、ついぞ無かったから。
其の気持ちを何と言うのか判らなかった。
ひょっとしたら其れは、「嫉妬」だった、
のかも知れない。        (続)